みなさんは、商品を買ってしまった後で後悔したことはありませんか?
・販売員にのせられて買ってしまった!
・いらない物なのに、お得に思えて買ってしまった!
・見栄をはって、買ってしまった!
‥などの状況だと、後悔の残る買いものになりますよね(^^;)
購入者心理を巧みにあやつり、販売者(広告等)は私たちにものを買わせています。
しかし、
売るためのテクニックを知ることで、ムダな買い物を少しでも防ぐことができます。
こちらの書籍を読みました。
著者のロバート・B・チャルディーニ氏は社会心理学者ですが、みずからが
・セールス
・募金勧誘者
・広告
‥の業界に潜入して、この書籍を書いたようです。
情報が氾濫する現代生活で、だまされない賢い消費者になると共に、プロの手口から人を説得するやり方を学ぶ。
400ページを超える書籍ですが、私的ベスト5に入るほど良書でした(^^)
節約家必見です。
今までは「マーケティング」や「セールス」など売り手側としての視点で書籍を読んでいました。


今度は買い手側としての視点です。
書かれている内容は、
「マーケティング」「セールス」とほぼ同じことがですが、実例がおもしろかったり、共感が持てる事例が多いので頭に入りやすいと思います。
あと、英語から日本語へ翻訳された本ですが、最終章以外の日本語訳がうまく、読みやすいです。
(さすが第3版が出されるだけの事はあります)
・断るのが苦手
・満足できる買い物がしたい
・詐欺にあいたくない
面白かったエピソードを紹介しますが、長いです。気になった所だけでも読んでいただければと思います。
ネタバレ含みます。
買うor買わない、どのように判断する?
・高価なもの=良いもの?
・値段の比較で安くみえる?
自分では考えたくない(判断したくない)
↓
専門家に熟考させる(売り手のいいなり)
↓
カモられる(高額でも売れる)

時間・エネルギーを消費してでも、満足度・経済的な節約をとるか?
高価なものは、良いもの?
高価なもの=良いもの‥という判断をしていせんか?
書籍の実例です。
観光客(富裕層)向けに、ターコイズの宝石を販売しているお店がありました。
しかし、値段を安くしても全然売れません。
ある日、お店側のミスで値段を2倍の価格にしたところ、飛ぶように売れたそうです。
これは、宝石について知識のない人が過去の記憶から「高価なもの=良いもの」と判断したからです。



しかし、
ステレオタイプ(過去の経験・記憶と照らし合わせて判断)になってしまうのは仕方ないこと、と書かれています。
人間が1日の間に判断できる回数は限られているからです。
だから、自動的に手っ取り早い方法を選んでしまう。



重要なのは、「高価なものは良いものだ!と判断しているかも‥?」という疑念を自分の中で抱くこと。
値段の比較で安くみえる?
あなた:3000万円の住宅を購入を購入しよう!
↓
販売者:オプション70万円の床暖房設備を付けませんか?と言われる
↓
あなた:70万円くらいならいいかな‥
最初に購入したもの(値段が高い)と、あとに購入を検討するもの(値段が安い)を比較した場合に安くみえる原理を「コントラストの原理」と言います。



ここでは書きませんが、
コントラストの原理を使ったシャロンのジョーク手紙がおもしろかったです(^^)
何かをしてもらったら、お返ししないと不快になる?
返報性の法則を知っていますか?
人に何かをしてもらったorされたら、お返ししたくなる法則です。
・良いこと(お返し)
・悪いこと(復讐)
‥の両方に働きます。
好感度より「借り」という意識が強い。
たとえば、こんな王道少女マンガのストーリーを例に出してみます。
主人公:学内1の不良男子高生
ヒロイン:心優しいの女子高生
主人公は教師陣や同級生にも評判が悪く、ケンカにカツアゲ何でもやる。
ある日、突然の雨が降り、傘を持っていないヒロインが学校の玄関で困っている。
主人公がたまたま通りかかって、ヒロインに自分の持っていた傘を貸してあげる。
↓
周りには評判が悪い主人公ですが、ヒロインの目にはどう映るでしょうか?
おそらくヒロインの中では、「根はいい人」となるんじゃないでしょうか?
王道恋愛マンガだと美談となりますが、この主人公がヒロインを利用するためにヒロインに傘を貸していたとしたら?
きっと、このヒロインは悪い男に騙される可哀そうなヒロイン‥というようなレディースコミック風の展開になっていたでしょう(^^;)
ちなみに、
政治家が特定の企業(人)にご飯をおごったり、お金を渡すことを禁止されているのは返報性の法則がはたらき、選挙時に不平になるからとされています。



自分が不利にならないための返報性の返し方
家に押しかけてくる「セールスマン」や「宗教の勧誘員」イヤですよね?(^^;)
・ちょっとした親切をしてもらう
・モノをもらう
↓
彼らの頼みを少しは聞いてあげないと‥という気持ちになる
人はたとえ、自分には必要のないものをくれた人でも、お返ししないと不快な気持ちになります。



しかし、
自分の利益のために与えている人ばかりじゃないのが、困る所ですよね?(^^;)
・とくにお返しはいらないと思っている家族
・本当の親切心でやってくれた友人
・無償でやってくれているボランティア団体
こういう方々の厚意は無下にはできません。
対処法として‥
・ほんとうの親切、にせの親切を見誤らないこと
・策略を厚意で返さないこと
・搾取には搾取で返すこと
自分の利益のための親切:やってくれたことに感謝して、お返しはしない
相手の利益のための親切:やってくれたことに感謝して、お返しもする
「自分の利益のためにやっているな‥」と気づいた時点で、親切だけもらってバイバイするようにしましょう(^^)
対処法とは少しズレますが‥以下の引用は、他人の助けを借りたがらないお年寄りに当てはまりそうな話です。
自分がお返しをできないのが分かっている場合に、
他者の援助を必要としていながら、それを求めたがらないというのも理解できます。



口に出したことを守ろうとする=立派?
ビジネス用語でよく出てくる「一貫性の原理」と「コミットメント」。
一貫性:矛盾がなく一貫した行動・言動をすること
コミットメント:公言したことを守ろうとすること
上記を徹底している人は、信用に値しますよね?(^^)
しかし、この2つが商売に悪用されるとしたら‥?
「はい」をたくさん言わせることで、一貫性とコミットメントを引き出す
twitterによく来るビジネス系のDM(ダイレクトメール)を例に出してみましょう。
副業・起業に興味がありますか?➡はい
↓
ブログやtwitterをしているのは、稼ぐためですか?➡はい
↓
集客、伸び悩んでいませんか?➡はい
↓
うまく行く方法を知りたいですか?➡はい
↓
では、こちらの有料セミナーで学びましょう(^^)➡‥‥(;・∀・)
稼ぎたい!
運営がうまく行く方法を知りたい!
‥と言ってしまっているので、断りづらくなります。
書籍では、寄付させる策略が紹介されています。
儲かっていますか?➡はい
元気ですか?➡はい
↓
では、
恵まれない人・元気じゃない人に寄付していただけますか?(^^)➡…断りづらい(;・∀・)
自分(内)と他人(外)のメンツを気にして、口に出したことを守ろうとする。
たとえ自分をだまして、不利な状況になっても。
自分が正しい選択をしたと自分に言い聞かせるだけで、自分の決定に対する満足度が上がる。



信用できない人には情報を与えすぎないこと。あいまいにしておくことです。
思考することを避けると、カモられる理屈とは?
前述しましたが、
・考える
・判断する
‥ということは、たくさんのエネルギーを使います。
たとえば‥
やっと副業で稼げる手段を見つけたけど、詐欺である可能性が高いという噂が広がる
↓
ふたたび希望が持てない状態になる前に、すぐ何か手を打たなくてはない
↓
自分にはこれしかないと考えている
↓
お金を払ってしまえば、もう安心
‥という「安心」を「お金」で買っている例です(^_^;)



自己イメージが構築されて、一貫性を保とうとする例
・行動をふくむ(自己イメージが強固になる)
・公表される(色んなひとに知られる)
・努力を要する(自分の)
・自分の意志で選ぶ(強制されたわけじゃない)
・文章に書く(記録に残る)
このような状況だと、責任感を覚えて、一貫した行動を取り続けようとします。
あなたは、自分の自己イメージのようなものがありますか?
あなたに保つべき高評価(自己イメージ)を与え、自分の利益と合致するようにすれば、簡単にモノが売れたり、頼みを聞いてもらいやすくなります。



責任感が強いひとは騙される?
自分が苦労したことを自慢げに話すオジサン・オバサンなどは、身近にいませんか?
苦労して手に入れたものに、より好意を持ち、またその価値をより信じるようになる
↓
自分はこれだけ苦労した➡他人にもさせようとする
このような考えに至ります。
書籍では軍隊の例が出されています。
隊員だった知り合いは皆、あの苦しい訓練(暴力)のおかげで自分が強く勇敢でより良い人間に生まれ変わったと思っている。
だから暴力をした側は、自分が間違っているとか悪いことをしてるとは一切思っていない。
あなたのためを思ってやっている(責任感)とされています。
長期間におよぶ信念(一貫性)を抱かせるには、脅しではなく「責任感」。



たとえ不利になっても一貫した行動(責任感)をしていますね(^^;)
「もし、時をさかのぼれたら、また同じ選択をしているだろうか?」
‥と考えること。
一貫性を保つということは、脳が楽をするということ。
以前の決定と似たような決定をすることで、全ての情報を処理する必要はなくなる。
意図的に作られた長蛇の列が気になる私たち
街を歩いていたら、お店の前に長蛇の列ができていました。
何があるのか気になりませんか?
特定の状況である行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断する。
他のみんながやっているなら、それは適切な行動だと見なす。
みんながやっている行動をマネしようとする原理(社会的証明)です。
他人の行動からは、多大な影響をうける。
・意図的に作られた長蛇の列
・テレビ番組の作られた笑い声
・あらかじめ入れられたチップ箱
タネ明かしなしで、このようなこと・モノを目撃したら、自分もやらなきゃいけない!と思いますよね(^^;)
しかし、それは策略の一部かもしれません。
自分と似た人のマネをしてしまう心理→利用される?
書籍で紹介されていた「よい方向」にマネする心理が働いた例です。
溺死事故を防ぐため、著者は自分の息子クリス(3歳)に泳ぎ方を教えました。
しかし、クリスは怖がって浮き輪なしでは泳げなかったといいます。
水泳の先生をつけてもダメだったそうです。
ある日、
著者はクリスが飛び込み台からプールに飛び込み、浮き輪無しで泳いでいる姿を目撃しました。
「なぜ、今日は浮き輪がいらないのか?」著者はクリスにたずねると、
「トミー(3歳の友達)ができるんだから、自分にもできるでしょ」と言いました。
「息子が自分にできること・すべきことの情報を得るには、185センチの水泳の先生ではなく、同い年の小さなトミーに決まっている」‥と著者は自分が間抜けだったと反省していました。
人は
・自分と似たような人
・自分と同じことをしている人
‥に興味を持ったり、マネしようとします。
多くの人々が同じことをしていると、私たちは自分が知らない何かを彼らが知ってるに違いないと思ってしまう。
では、
あなたと似たような人を「意図的に」作り出された場合はどうなるでしょうか?
「あなたのお友達、○○さんも使っていますよ!」
「40代の女性は、みんな使っている商品です」(あなたが40代女性の場合)
「私がブラック企業から脱出した方法」(あなたの職場がブラック企業の場合)
たぶん、興味を持ったり、マネしたりしますよね。
・名前
・経歴
・趣味
・年齢
・境遇
類似していればいるほど、影響されやすいとされています。
これら「意図的に」作り出された類似性に騙されないためには、「意図的に」作られている言葉(文章)かもしれない‥と頭の片隅に入れておくこと。
余談:これがネットワークビジネスの闇?
人は「好意」を抱いている相手に従ってしまうという法則があります。
書籍で紹介されていた例です。
企業が知り合いが多い人(Aさん)に依頼して、パーティーを開いてもらう
Aさんの知り合いをたくさん招待
↓
AさんからAさんの知り合いに、企業の商品を買ってもらう
↓
利益の数パーセントをAさんは企業から受け取る
見ず知らずの販売員からではなく、友人から品物を買ったと思わせる。
さらには、友人や近所からの誘いの断りにくさを利用されているということ。
・ママ友商法
・インフルエンサー商法
・アフェリエイト
‥になんだか、似ていませんか?(^^;)
本当によい商品ならまだいいですが‥。
親しい間柄でも、心の中でその人が売ろうとしている物とは分けて考えること。
「人物」と「賢くものを買うこと」は無関係と考える。
格上の人に従いすぎると、判断が鈍る?
1度正当な権威者が命令を下すと、部下はその状況において考えることを停止し、単に反応するだけになってしまう。
皆さんも、
・自分よりお金持ち
・自分より成功している人
・信頼の厚い頼れる上司
‥に従いたくなった事はありませんかね?



仕事等で自分の判断が鈍ったのを感じました。
・投資で100万円→1億円にしたという肩書を持った人
・ネットビジネスで優雅な暮らしをしているという肩書を持った人
手に入りにくい物=良い物という価値観→利用される
手に入りにくいもの=希少性が高いといいます。
有名な話かもしれませんが、
人はあるものが失われてしまうと考える時の方が、同じぐらいの価値のものが手に入ることを考える時よりも、強く刺激されるようです。
つまり、
・失う
・損する
‥に大きく反応してしまうということ。
もし生きていくだけで精一杯な状態にあるなら、資源が増えるのは有益なことだけど、資源が減るのは命にかかわる。
損失に敏感であることは、自然の摂理にかなったこと‥とされています。
広告で見かける
「現品限り」
「本日限り」
「期間限定価格」
‥これらは、損・失うことを全面に出して購買意欲を刺激している商法です。
とくに期間限定価格は「何回やるの?(笑)」‥ってくらい月に何度も行われていますよね?
手に入りにくいもの=いい物とは限らないという事を頭に入れておきましょう(^^)
希少性を高める商法を知り、防御しよう
・禁止されると信じてしまう心理
・2重の希少性には要注意
・最後に笑うのは、価値を見れる人
禁止されると、信じてしまう心理も利用される
禁止されると益々気になる心理を「カリギュラ効果」といいます。
例:ちょっとエッチな○○は、18歳未満のお子さんはご覧になれません→18歳未満者は気になる
興味深いのは、情報の受け手が情報を受け取ってもいない内から、その情報を信じるようになるという点。
よく情報規制をする国がありますが、われわれ一般国民からみたら「何か都合の悪い事実があるのでは?」と思いませんかね?



逆に、
本当に不都合な情報は「わかりづらく」公開してしまって、目を向けさせない‥という賢い方法もあります。
2重の希少性で、より欲しくなる
<希少となる材料>
・小さい、少ない
・値段が高い
・禁止されている
・競争しないと手に入らない
このどれか2つを組み合わせることで、希少性がアップして益々ほしくなります。
書籍ではオークション形式の競争が紹介されています。
※オークション:商品を買いたい人たちが集まり、いくらまでなら出せると競争(値段が上がって行く)する。
映画のテレビ放映権の競売で、100万ドルの赤字を出してしまった経験豊かなビジネスマンの「ディラー」と放映権を逃した「ボブ」の話。
最初は映画が自分たちにもたらしてくれる利益に見合った額を提示していましたが、競売が始まると、2人とも頭に血が上って、ドンドン額を釣り上げてしまったといいます。
・放映権をめぐり2人で取り合う
・競争意識=希少性アップ
・最後に笑うのは手に入れられなかった人だった
放映権を手に入れられなかったボブが「よい勉強になった」と笑って、放映権を手に入れたディラーは競売には2度と足を踏み入れないと言ったそうです。
一番重要なのは、
皆が欲しがっていたものを手に入れられなかった人が、最後に笑っている‥ということ。
おそらく、ディラーは満足いく買い物ができなかったと思います。
希少性ではなくて、価値に見合ったモノを賢く買うことが大切ですね。
まとめ:購買原理を知っていれば、ムダ使いを減らせる
・返報性の法則
・一貫性の原理、コミットメント
・社会的証明
・好意
・権威
・希少性
人間は1日に判断できる回数が限られているので、これらの自然行動・自然思考は判断を助けてくれます。
しかし、これらは売り手のプロに利用されやすいというのも事実です。
売り手側のテクニックを知ることで、
自然行動・自然思考を生かしつつ、悪質な売り手からの誘惑を防ぐこともできます。
利益を得ることはいいこと。
しかし、思考の近道への信頼性を脅かすようなやり方で利益を得ようとするあらゆる試み、これこそが本当の裏切り行為であり、対抗しなければならない。私たちが思考の近道によって得られる利益を失わずにいるためには、あらゆる適切な手段を使ってそのようなインチキに対抗することが重要。
・詐欺
・騙そうとする人
これらには徹底的に対抗しなくてはならないと締めくくられています。
これは激しく同意です。
騙される人が減ることで、騙す人も相対的に減ります(商売が成り立たなくなるので)。
節約家のみなさんには、ぜひ読んでいただきたい書籍です(^^)